心にも あらで憂き世に ながらへば

恋しかるべき 夜半の月かな

作者:三条院(さんじょういん)

解説

この歌は、「後拾遺和歌集(ごしゅういわかしゅう)」に収められています。

詞書には、「例にならずおはしまして、位など去らんとおぼしめしける頃、月の明かりけるを御覧じて(三条天皇は、ご病気でいらして、とうとうご退位しようと心に決めた時、月が明るいのを御覧になって)」とあります。

目の病気を患っていた作者には、この時の月はいつにも増して美しく見えたことでしょう。

当時、藤原道長からうとまれ、退位を迫られていた作者の立場はとても弱いもので、目も失明寸前だったので、仕方なく退位を決意した時に詠まれた歌です。

 

文法の意味と解釈

※ 「心にもあらで」の「で」は、未然形につく打消の接続助詞です。

「~ないで、~なくて」の意味なので、「心にもなくて、心ならずも」の訳になります。

※ 「ながらへば」の「ば」は未然形について順接確定条件を表します。

「~ならば、~としたら」の意味なので、「生きながらえていたならば、生きながらえていたとしたら」の訳になります。

※ 「恋しかるべき夜半の月かな」の「べき」は、推量を表す助動詞で、「~だろう、~しそうだ、~に違いない」の意味です。

「かな」は、詠嘆の終助詞で「~だなあ、~ことよ」の意味です。

なので、「この夜中の月が恋しく思われるに違いない」の訳になります。

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