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今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを

人づてならで 言ふよしもがな

作者:左京大夫道雅(さきょうのだいぶみちまさ)

解説

この歌は、三条院に引き裂かれた禁断の恋の相手、当子内親王(まさこないしんのう)と逢えなくなってしまった状況を、せめて直接逢って、逢えない理由を伝えたいという想いを歌ったものです。

伊勢の斎宮(さいぐう)(斎宮とは、伊勢神宮に奉仕した内親王のことで、恋愛は厳禁だったようです。)を終えて京都に戻った、と言っても、神に身を捧げた存在です。

この内親王への愛を抑えられず、気づかれないように密会を重ねましたが、とうとう三条院の知るところとなり、内親王は軟禁状態にされてしまい、見張りの女房までつけられてしまいました。

こうして二人は引き裂かれてしまったのです。

 

文法の意味と解釈

※ 「今はただ」は結句の「言ふ」にかかります。

※ 「思ひ絶えなむ」の「な」は、完了(動作、作用が完全に終わる意味)の助動詞「ぬ」の未然形です。

※ 「とばかりを」の「ばかり」は、連体形について限定を表します。

「~だけ、~ばかり」の意味なので、「ということだけ」の訳になります。

※ 「人づてならで」の「で」は、未然形につく打消接続の接続助詞で、「~ないで、~なくて」の意味なので、「人に託さないで」の訳になります。

※ 「言ふよしもがな」の終助詞「もがな」は、体言、形容詞の連用形で、助動詞「ず」の連用形「ず」や、一部の助詞について、他に対する願望を表します。

「~たらなあ、~ならいいのになあ、~してほしい」の意味なので、「言う方法があったらなあ」の訳になります。

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