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やすらはで 寝なましものを 小夜更けて

かたぶくまでの 月を見しかな

作者:赤染衛門(あかぞめえもん)

解説

この歌は、作者が妹のために代わりに作った歌です。

「後拾遺集」の詞書には、「中関白、少将に侍りけるとき、はらからなる人に物いひわたり侍りけり。たのめてまうでござりけるつとめて、女にかはりて詠める。」とあります。

中関白は、藤原兼家の長男の道隆のことです。

「はらからなる人」とは、付き合っていた作者の姉妹の元に、必ず行くからというので待っていたのに、結局訪れなかったので、その姉妹の代わりに詠まれました。

来ると言うから待っていたのに、男性は現れなかった。

すっぽかした男性への恨みの歌になっていますが、強く責めているわけではなく、あきらめの気持ちを含みながら、感情を爆発させずに余情を伝わらせています。

 

文法の意味と解釈

※ 「やすらはで」の「で」は、未然形につく打消接続の接続助詞です。

「~ないで、~なくて」の意味なので、「ためらわないで」の訳になります。

※ 「寝なましものを」の「な」は、完了の助動詞「ぬ」未然形です。

助動詞「まし」は連体形で、反実仮想(事実に反する事態を連想して、その結果を推量する)の表現で、「もし~としたら・・・だろうに」の意味です。

「ものを」は終助詞で、形式助詞「もの」と、間投助詞「を」が結びついて詠嘆、強意を表します。

「もし、あなたが来ないとわかっていたら、寝てしまったでしょうに」の訳になります。

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