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あらざらむ この世のほかの 思ひ出に

今ひとたびの 逢ふこともがな

作者:和泉式部(いずみしきぶ)

解説

この歌は、「後拾遺集」から採用されています。

詞書には、「心地(ここち)れいならず」とあるので、病気がかなり重く、死を予感しながら恋人に贈ったものとされています。

「あらざらむ」は「ないだろう」の意味で、「この世のほか」は「この世ではないところ」の意味です。

ですので、「この世では生きていないだろう」の訳になります。

こんなに重病なのに、作者は恋人に「あの世への思い出にあなたともう一度逢いたい、抱かれたい」と歌っています。

死期が迫っているにもかかわらず、とても情熱的な歌です。

 

文法の意味と解釈

※ 「あらざらむ」の「あら」は、動詞「あり」の未然形です。

「む」は推量を表す助動詞で、「~だろう、~う、~よう」の意味なので、「いないだろう、生きてはいないだろう」の訳になります。

※ 「逢ふこともがな」の「もがな」は、願望を表す終助詞で、体言、形容詞の連用形「~(し)く」、助動詞「ず」の連用形「ず」、一部の助詞について、他に対する願望を表します。

「~たらなあ、~いいのになあ、~てほしい」の意味なので、「逢えたらなあ」の訳になります。

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