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八重葎 しげれる宿の さびしきに

人こそ見えね 秋は来にけ

作者:恵慶法師(えぎょうほうし)

解説

「河原院にて、あれたるやどに秋来(く)といふ心を人々よみ侍りける(河原院(かわらのいん)で人が集ったときに「荒れた宿に秋が来た」というお題で詠まれた)と詞書にあります。

河原院は、源融(みなもとのとおる)が建てた豪華な邸宅で、奥州の塩釜の海岸風景を庭園にそっくり移したようですが、この歌が歌われたころにはすっかり荒れ果て、寂しい庭園となっていたようです。

人と秋を対照的に表し、人は誰も訪ねてこないけれど、秋はやってきたのだなあ・・・と詠嘆しています。

文法の意味と解釈

※ 葎(むぐら)は、つる性の雑草で、荒れた庭や住居を表すときに使います。

※ 「さびしきに」の「に」は順接確定条件(原因、理由)を表す接続助詞です。

「~ので」の意味で、「寂しいところなので」の訳になります。

※ 「人こそ見えね」の「ね」は「こそ」を受ける係結びで、打消しの助動詞(動作状態を打ち消す意)「ず」の已然形です。

「~ない、~ぬ、~ず」の意味なので、「人はやってこない、人はまったく見えない」の訳になります。

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