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有明の つれなく見えし 別れより

暁ばかり 憂きものはなき 

作者:壬生 忠岑(みふのただみね)

解説

この歌は、古今和歌集の中で最も優れた歌だと言われています。

日没後、女性のもとを訪れた男性は一夜を共にし、夜明け前に女性の素を去ります。空を見上げると、有明の月(明け方まで残っている月)が出ています。

「つれなく見えし」とは、「そっけなく見えた」との意味ですが、つれなかった、そっけなかったのは月なのか女性なのか・・・それとも両方なのか・・・

藤原定家は、「月」と言っていたようで、男性は後ろ髪引かれる思いで女性のもとを去ったのに、月は冷たく平然としているとの見方をしています。

月と女性両方という解釈ですと、女性のもとを訪れたのに会ってもらえず、有明の月も冷たく輝いている、というようになります。

古今和歌集の「逢はずして帰る恋」の歌群にこの歌が収められているので、月と女性の両方がつれない説が濃厚です。

 

文法の意味と解説

※ 見えし

「し」は助動詞「き」の連体形で、過去に直接体験した事柄を回想するときに使う。(「~た」の意味)

※ ばかり

「ばかり~なし」で「~ほど~なことはない」の意味になる。

※ 憂き

「憂し」の連体形。つらいこと。

 

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