trees-11703_640

立別れ いなばの山の 嶺におふる


まつとし聞かば 今帰り来む
作者:中納言行平(ちゅうなごんゆきひら)

解説

この歌を詠んだ時については、2つの説があります。

1つめは、行平が38歳のとき、公務で因幡(いなば)(現在の鳥取県)に行くことになったために、京の友人たちが開いてくれた送別会の席上でこの歌を歌ったという説。

2つめは、2年の任期を終えて、因幡から帰京した作者は、何が原因かはわかりませんが、天皇の怒りを買ってしまい、今度は須磨(現在の兵庫県)に行かされてしまいました。

そこで彼は、若い姉妹と恋に落ちますが、3年後には罪を解かれて京に戻ることになりました。

その時、別れを惜しむ彼女たちに歌ったとも言われています。

今では、1つめの説の方が有力だと言われています。

ちなみに、行平鍋の語源はこの人です。

この歌を食器に書いておくと、いなくなった飼い猫が帰ってくるというおまじないにもなっていたようです。

 

文法の意味と解説

※ いなば・・・「因幡」と「往なば(そこへ行くという意味)」の掛詞になっています。

※ まつ・・・「待つ」と「松」の掛詞になっています。

※ 生ふる(おふる)・・・「生ふ」の連体形。二句から三句は、下の「まつ」にかかります。

※ まつとし・・・「し」は意味を強める副助詞で、「待っていると聞いたならば」の意味になります。

※ 今帰り来む・・・「来(こ)」は「来」の未然形です。「む」は未然形接続助詞で、意思(話し手の意思)を表すので「~う、~よう、~つもりだ」の意味になります。なので、「今すぐにでも帰ってこよう」の訳になります。

記事を共有
Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0Share on Google+0


<スポンサードリンク>