fractal-446724_640
陸奥の しのぶもぢずり 誰故に
みだれ初めにし 我ならなくに
 作者:河原左大臣(かわらのさだいじん)

解説

この歌は、心変わりした恋人になじられた時に送ったものと言われています。

「自分の心がこんなに乱れているのは誰のせいでしょう?」と言っていますが、その裏では「あなたのせいですよ」と言うニュアンスを込めています。

陸奥(みちのく)は、東北地方の太平洋側の古い呼び方です。京の都から遠く離れたこの地は、平安の人たちにとって、あこがれの土地だったようです。

「しのぶもぢずり」は、福島県信夫(しのぶ)地方特産の、忍ぶ草(しのぶぐさ)の葉や茎をすりこんで、乱れ模様に染めた布のことです。

忍ぶ気持ちと乱れた心を名前と模様に込めているようです。

 

文法の意味と解説

※ 「陸奥の しのぶもぢずり」は、「乱れ」を導く序詞になります。また、「信夫」と「忍ぶ」の掛詞になっています。

※ 「乱れ初めにし」の「初め」は「染め」との掛詞になります。また「乱れ」と「初め」は、「しのぶもぢずり」を連想させる縁語になります。

※ 誰故に・・・「誰のせいで~したのか」の意味で、「誰故にか」の「か」略されています。

※ 我ならなくに・・・「なら」は、断定の助動詞「なり」の未然形です。(次に「なく」がくるため)

「なく」は打消しを表す助動詞です。助動詞「に」は逆説を表すので、「私のせいではないのに」の意味になります。

 

記事を共有
Share on Facebook0Tweet about this on Twitter0Share on Google+0


<スポンサードリンク>