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天の原 ふりさけ見れば 春日なる

みかさの山に 出でし月かも

作者:阿倍仲麻呂(あべのなかまろ)

解説

仲麻呂は、遣唐使として唐で30年を過ごし、帰国が決まり、その送別会の時に月を見ながらこの歌を詠みました。

この時は、帰国も決まり、喜びに満ち溢れた歌だったと思われます。

しかし、帰国途中、船が遭難しかけたため、結局唐に戻り、二度と帰国することはできませんでした。

「天の原」とは広々とした大空のことですが、時間的な広がりも表しています。

春日は、春日大社。三笠山は、春日大社の後ろにそびえたつ春日三山の一つです。

春日山は作者の故郷であり、遣唐使が日本を発つ前に旅の無事を祈願する習わしがありました。

 

文法の意味と解説

※  ふりさけみれば

「ふり」は強意をもつ接頭語。「さけ」は「離く(さく)」の連用形で遠くに目を放つこと。「ば」は已然形について順接確定条件を示すので、(「~と、~ところ」の意)「遠くを振り仰いでみると、遠くを仰いでみたところ」という意味になります。

※ 春日なる

「春日」は地名。

「なる」は、助動詞「なり」の連体形で、この場合は、推定や伝聞ではなく断定の助動詞となるので、「春日にある」という意味になります。

※  いでし月かも

「し」は過去を示す助動詞「き」の連体形です。

「かも」は詠嘆の終助詞で、連体形につきます。(「~だなあ」、「~ことよ」の意)ですので、「「出ていた月なのだなぁ」という意味になります。

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